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実行委員長挨拶・テーマ趣旨

日本乳幼児教育学会第33回大会開催にあたって

日本乳幼児教育学会第33回大会

実行委員長  上田 敏丈

(名古屋市立大学)

greeting

 2020年からの新型コロナウイルスの影響によって、激変した社会生活も海外諸国では、すでに落ち着きを取り戻しているようであり、現在、日本においても以前よりは様々な規制が緩和され、withコロナの時代に突入しているように思います。一方で、第9波も懸念されつつあり、大学の教育等についてもまだまだ慎重な対応が求められております。

 このような状況下の中ですが、2023年の第33回大会について、名古屋市立大学にて3年ぶりの対面となる学会を開催する機会を頂きました。次年度の大会時期がどのような社会状況になっているのかはまだ予見できないところではございますが、現在は、完全に対面で進めていくように準備しております。しかし、状況によってはハイフレックス等での開催となるかもしれませんこと、ご承知おき頂ければ幸いです。

 名古屋市立大学は、前身となる名古屋市立女子短期大学、名古屋市立大学教養学部、名古屋市立保育短期大学の三者が統合・改組され、人文社会学部となりました。名古屋市立保育短期大学は「しほたん」と呼ばれ、名古屋市を中心に数多くの保育者を養成してきていました。その流れを受けて、人文社会学部心理教育学科でも、少ない人数ではありますが、保育者養成校としての役割を果たしております。同時に、大学院博士前期・後期課程のある大学院は東海圏内はまだ少ないこともあり、特に後期課程には数多くの院生が在籍し、様々な大学・短大に修了生を送り出しております。このような研究室のネットワークを土台としながら、皆様とこれからの乳幼児教育についての最先端の知見を共有し、議論し合えるような大会の実現に邁進していきます。

 日本のどの地域からでも、均等に参加しやすい「ど真ん中」名古屋にて、皆様をお迎えできることを心より願っております。

大会テーマ

テーマ

「物語りとしての保育実践」

企画趣旨

 日本乳幼児教育学会第33回のテーマは、「物語りとしての保育実践」といたしました。保育の質という用語が当然のように使われるようになって、30年以上たちました。多くの行政文書等でも、必ず「保育の質の向上」という文言が登場いたします。このような隆盛に対して、ピーター・モスは、保育の質を超えた議論の必要性を述べております(ダールベリ他 2022)。これは「保育の質」という言葉を使うのをやめて、「物語り」という言葉を使いましょうということではなく、改めて、保育実践の持つ豊かさや、その中で展開されるこどもの姿を見つめ直していくことの必要性と捉え直されています(秋田 2020)。

 保育実践を「物語り」として捉え直したとき、そこには保育実践を取り巻く複層性が立ち現れてくるように思います。第一は、保育実践の中で展開されるこどもと保育者の物語りです。第二は、主として保育者や研究者が記録し、解釈し、再構成される「物語りとしての保育実践」となります。第三は、このように生成された「物語りとしての保育実践」をさらに他の保育者や研究者と共有し、意味づけていく層となるのではないかと考えています。このように、保育実践を「物語り」として構成・再構成の循環を通して、開かれた「物語り」として共有することで、保育実践の豊かさやこどもの姿、学び、保育者としての実感が照射されると思います。

以上のようなことから、本大会では、「物語りとしての保育実践」をテーマとして、今一度、実践に立ち返り、様々な議論が活発に展開される学会としていきたいと考えております。